二人で協同すれば本人に替わって署名できるか?

注)本稿はPart 11 [1] の条文についての解説です。厚労省のER/ES指針[2]ではここまで詳細に定めていません。

 

Part 11.200(a)(2)の条文

Part 11 の 11.200(a)(3)は「 Be administered and executed to ensure that attempted use of an individual’s electronic signature by anyone other than its genuine owner requires collaboration of two or more individuals. 」

日本語訳すると「真の所有者以外による電子署名使用の試みに対しては、必ず2人以上が協同せざるを得ないよう管理/運用する。」
となっています。(注:実際のライブラリの訳では、やってはならないことを強調するため、「協同」の部分を「共謀」としています)

これを以て、「2人以上で協同すれば本人になり替わって署名が可能である」という解釈が、日本でPart 11対応が始まった2000年代前半まで、あちこちで見られました。

まず、2人で協同しようが100人で協同しようが、個人の署名を他の誰が行うことも許されていません。この条文に先立つ11.200(a)(2)では、「署名は真の所有者によってのみ使用し」とわざわざ断っています。どのような条件であれ、ある署名者の署名を代わりに行ってよいわけでありません。

今はそんな誤解はないと思いますが、記憶は風化しますし、新たにPart 11を読む人にはやっぱりひっかかりそうなところなので、改めて注意しておきます。

 

FDAの見解

この件について、Preamble #127で見解が述べられています。長いですが引用します。「共謀に関するこの規定の意図は、別の個人が予め知っている情報を入手しないことには、バイオメトリクスに基づかない電子署名の構成要素を使用することができないようにすることである。FDAとしては、放置されたカードやトークン等の構成要素が使用されるという状況を防止したい。もし、別の個人にパスワードを教えることにより共謀しなければならないとすれば、裏切りや発覚の可能性が非常に高まり、共謀行為を抑止する一助となる。FDAはそのような行為を認めているわけではないため、Section 11.200(a)(2) において真の所有者のみが電子署名を使用するよう求めている。」と明確です。

 

代理署名は自分の署名で

手書き署名の場合、署名者が不在のときはどうしていますか?おそらく佐藤部長が不在の場合は、田中副部長が代理署名であることを明確にして、田中副部長の署名(又は押印)を行うのではないでしょうか。電子署名も同じことです。「代わりに署名」する機能がシステムに備わっていない場合は、手順書等でそのことを定めておけばよいでしょう。

 

― 参考文献 ―

[1] United States Code of Federal Regulations Title 21, Part 11 “Electronic Records; Electronic Signatures”, 1997【和訳】(A)

[2] 医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について, 平成17年4月1日, 薬食発第0401022号 【英訳】(A)

【注】
 (A) : アズビル株式会社様が翻訳したものです。
  アズビル株式会社様には、本サイトで掲載することをご承諾いただいております。

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